昼下がりの屋上。
給水塔の影に、彼はいた。
五月にやってきた転校生、志賀慎吾。
僕が屋上に行くと必ずいる志賀慎吾。今日は子猫を抱いている。
いつも孤独そうな彼に、僕は意を決して話しかけてみることにした。
「その子猫、かわいいね。どこかで拾ったの?」

いきなり死ねと言われてしまった。
初対面の人間に死ねとか無くね?
「へー、そうなんだ。あ、授業始まるからまたね。」
僕はいかにも自然な感じでそう言って、教室へと戻った。
志賀慎吾…気難しそうな人だ。



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