「いやだからお好み焼きは広島風より関西風の方が…」
拓也との帰り道、僕は関西風お好み焼きの魅力を熱弁していた。
拓也は七年振りに再会した幼馴染み。学校でバッタリ会った時は驚いたけど、
すぐに昔のように楽しく話せる仲になった。
「そもそも広島風は食べにくいのが気に入らなくて…」
関西風の魅力を豪語する僕の話を拓也は笑いながら聞いていた。
そして懐かしそうにこう言った。

「能天気だけど頑固で負けず嫌いでまっすぐで…俺、昔からそんなお前に憧れてた。
そういうトコ、変わってなくて安心したぜ。」
離ればなれになってもずっと記憶の片隅にいた拓也。
そんな彼が今、隣で笑っている。
不思議であると同時に、嬉しいと思った。
僕の中に新たな感情が芽生えた瞬間だった。



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